机に向かう作業中に、ライブカメラの映像をよく見てる
車や人の往来と、時々電車が通るような日本の景色がよい
できれば行ったことのある場所だとなお良い
東京の町中を映したやつがなんだかんだ安定感ある


昔、東京湾の中央防波堤という埋立地にある風力発電所の
ライブカメラをウェブ上で見ることができて
それが好きで時々見に行っていた
今みたいに画質は良くなく、ぼそぼその小さい画面だったけど
風車が回っている様子はしっかり見ることができた
発電所の敷地だから、一般人が映り込むことはなかったが
ときどき風車の下に作業の軽トラックみたいなのが通りかかると
おお、と思ったりする、 その程度の情報量だった

おもしろかったのは、画面越しにカメラを操作できたことだ
「操作権を得る」といったかんじのボタンがあって
押すと、間を置いて上下左右やズームの操作をすることができた
恐らくインターネット上の他の誰かとかち合わないように
順番にカメラの操作権利を管理していたんだと思うけど
別なだれかが操作しているところに遭遇したことは一度もなかった
操作したからといって、べつに見える内容が大きく変わるものでもなく
風車がいくらか画面右に行ったり左に行ったり
ちょっと大きくなったり小さくなったりするだけだ
それでも、はるか遠い中央防波堤に設置されたカメラが
左右に振れたり、レンズが伸び縮みしているところを想像すると
茫漠たる生中継景色がちょっと確かなものに感じられた
もう15年以上も前のことだが
 
一度実物を見に行ったこともある
その頃はまだ東京ゲートブリッジもなく
徒歩で中央防波堤に渡る手段も存在しなかったので(今あるのかは不明)
埋立地で働くひとを乗せる朝のバスに乗り込み訪れた
小雨が降っていて、予想通り殺風景でいいところだった
思い出の土地のひとつだ
 
 
いつしか風車のライブカメラを見ることもなくなっていった
まさかまだ同じような設備で映像を流してはいないと思うけど
もしかして新たな機器にアップデートされて
見ることができるようになっているかもしれないと
思って調べてみたら
なんと昨年の1月末でもって、風力発電所自体が撤去されていた

自然エネルギーの利用促進の広告塔のような役割で
20年間運用するという計画のもと、稼働していた風車であったらしく
期間の満了に伴い、予定通り解体されたのだという
そうでしたか
 
 
グーグルマップで中央防波堤を見てみたら
南西側の地名が「令和島」となっていた
埋め立てで出来た土地をどこの区のものにするかという
問題が決着したことで、新たにつけられた地名なのだという
今まさに、最新の景色があるんだろうと思わせるネーミングだ
 
低画質のライブカメラの映像は、遠い記憶にふさわしい
もう見れないけど