テレビを見ていたら、鏡餅のコマーシャルをやっていた
いよいよ正月ムードという感じだが

鏡餅とはいっても、あの平たいまんじゅうを二段重ねたような
形状の餅の部分は中が空洞の樹脂製で
そこに個装された切り餅がいくつか入っているという商品らしい
その鏡餅のコマーシャルでは、三人くらいの晴れ着を着た女性が
鏡餅を持ってPRしていた

次の瞬間、なんと女性たちは中身を取り出したあとの樹脂製鏡餅を
手でぺしゃんこに潰して捨てたのである
その次は鏡餅を真っ二つに引き裂いて破棄していた
えーっと思って


このコマーシャルは鏡餅の容器部分を手軽に破棄できるということを
宣伝する趣旨のものだったらしい

縁起物を手でぶっつぶしたり引きちぎったりしているところを
軽妙でおめでたいムードの映像にあわせて
ニコニコアピールするのは妙な違和感があり、目が釘付けになった
べつにばちあたりだろうとか怒りが沸くようなことはないが
なんとなく常軌を逸しているような感じはあった


そして、このコマーシャルからわかることがもうひとつある
人は、どうやら鏡餅の処理に困りがちであるということだ

鏡餅商品のアピールポイントとして
「捨てやすい」
ということを全面に押しだすということは、鏡餅メーカーは
お客が捨てやすい鏡餅を求めており、それを打ち出すことで
宣伝的に効果があると考えているということになる

そうなんですか
みんな、鏡餅の後処理が面倒だと思ったり、もっと捨てやすければと
潜在的に思っていたのか、そしてそれをすくい取るコマーシャルが現れた

鏡餅界隈のいびつな実情が立ち現れたようで、なんとも言い様のない
すごく薄味の哀愁のようなものを感じたが、コマーシャルの映像が持つ
正月ムードの賑やかなおめでたさがそれをかき消していた




2017年ももう終わり
今年は思い返せばあまり起伏のない穏やかな一年だったような気がする
穏やかでないことを忘れただけかもしれないが、せっかくならあまり考えず
その気分のまま年を越したいとおもいます
よいお年を