売店のおばちゃんを探している
高台、斜面に住宅が立ち並ぶ中を通る二車線道路を車で進む
踏切の手前で斜め右に入る細い道を少しいくとすぐ車止めがあり
その先が階段になっている
売店のおばちゃんの名前がどうしても思い出せない
名前がわかれば住所を調べることも出来るのに、それも出来ない
過去におばちゃんから届いたメールがあったかなと思って
携帯電話の履歴を辿るがそういうものはない
あとはおおまかな場所の見当をつけて、聞き込みをするくらいしか方法がない
なんとなく、ピンとくるアパートがあったので入ってみる
入り口がなく、仕方なく木製サッシの古びた窓から中に入る
中は狭いコンクリートの小部屋で出入口もないため、床の排水口から
すり抜けてアパートの廊下に出た
廊下には各部屋の扉が4つか6つあった
そのうちのひとつが開いて、ジャージを着た女性が出てきた
おばちゃんについて尋ねるが、心当りがないという
(名前もわからないのだから当然だな、とも思う)
別の扉から、身長3メートル以上はあろうかというでかいプロレスラーが出てくる
しゃがんだ状態でおれの身長と同じくらいの高さあった
プロレスラーもおばちゃんについては知らないという
プロレスラーが、本人そっくりに作られたゴムのマスクをくれる
これをかぶって試合を見に来てくれれば君だとわかるから、と言う
ジャージの女性は○谷さん(○は失念)という名前で、川沿いに住んでいるらしい
「またどこかで。さようなら」と書かれた紙をくれた
二人とはいつの間にか親しくなっていた