小学生のころ、地域の公民館のような施設にピーターフランクルが公演に来た
ピーターフランクル、当時はよくしらなかったが数学者かつ大道芸人で
いくつもの国の言語をあやつるという。高い能力をもつ人ということはわかった
その公演を、なぜか聞きにいくことになった

しかし、ひとつしか内容覚えていない
そのひとつとは、以下のような数学のパズル問題だった



 この文章に矛盾が生じないように○に数字をいれてください
  0は○個
  1は○個
  2は○個
  3は○個
  4は○個
  5は○個
  6は○個
  7は○個
  8は○個
  9は○個



これの末尾に、その日の日付が西暦で入っていて、それも数字でカウントする。
だいたい、こんなような問題だったと思う、細部ちがうかもしれない
メモをとっておけばよかった。
「公演のときに、よく会場のみなさんに出題する問題です」とフランクル氏は言っていた
はじめは簡単かと思って考え始めてすぐ、これはひとすじなわでは
いかないなと思った記憶がある

解き方はひとそれぞれあると思うが、当時おれがとった手段は
左側にゼロから9まで数字がひとつずつあるから、全部とりあえず1個あるという
ことにして、そうすると、1の数が増える、1が9個になったとしたら、9は2個になる
すると2も2個になる、しかし1はその分減る、という具合に
それを足がかりに端から数の帳尻をあわせていくといったような
手段をとって、どうにか矛盾のない回答を得た気がする
いまにして思えば片っ端から数字を入れて矛盾を調べる、乱暴なやり方で
たまたま解けただけかもしれないけど
このような思考経路をたどったことは鮮明に記憶している



今でもときどき、この問題のことを思い出す
それは何かものを作っているときに、思い出すことが多い

絵描いたりものを作るとき、ああでもないこうでもないといじくり回すことがよくあるが
そういうとき、まずすべての空欄にその時正しいと思われるものをあてはめてしまって
それで生まれた矛盾を受けて入れ替えることで、うまい着地点をさがす
絵に色や線をひとまず乗せてみて、それに都合がよくなるよう周りを作ったり
だいたい、困ったときのやり口は、小学生の頃から変わっていないようです
それで、ふとあの数学の問題が頭をよぎるときある


解いている間のスリルのようなものも、ものを作ってるときと少しにてる
破綻していると思っていた数字が、あるタイミングで矛盾がなくなっていたり
「2が2個」という文章の完結具合に感動したりだな、